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メールマガジン「FROM JPRS」

バックナンバー:vol.149

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2015/02/24━
                    ◆ FROM JPRS 増刊号 vol.149 ◆
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                      ICANNシンガポール会合報告                       
   ~インターネットガバナンスとccTLD、新gTLDに関する話題を中心に~    
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2015年2月8日から12日にかけて、第52回ICANN Meetingがシンガポールで開催
されました。

本会合の参加登録者数は約1,800人で、全体としては引き続き、インターネッ
トガバナンスに関する情報共有と議論が中心となりました。

オープニングスピーチでは、ccNSOやGNSOなどICANNに関連する組織の代表者ら
が自らの組織の紹介を行いました。今回、それぞれの組織が持つ経緯の共有が
ICANNコミュニティ全体に行われたことについては、ICANN会合初参加者だけで
なく参加経験者にも好意的に受け入れられているようでした。

また、最終日に行われたパブリックフォーラムでは、英語を使わずにそれぞれ
の母語を使った発言が、参加者からだけでなく理事からも多く行われ、言語の
多様性に関する配慮が今回も行われていました。今回の開催地が当初予定され
ていたモロッコのマラケシュからシンガポールに変更されたことについて参加
者から懸念が表明されるなど、ICANNには言語の多様性と同様、会合の参加者
層や開催地などさまざまな点において、より一層のバランスが求められていく
と考えさせられる会合となりました。

今回のFROM JPRSでは、以下の項目に沿って会合の模様を報告します。

(1)インターネットガバナンスに関する話題から
       - IANA監督権限の移管に関する議論
       - ICANNのアカウンタビリティに関する議論

(2)ccNSOに関する話題から
       - Framework of Interpretationについて
       - セキュリティに関する話題

(3)その他の内容・議論から
       - IDN TLDに関する話題
       - 新gTLDに関する動向
       - APAC Spaceの開催

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(1)インターネットガバナンスに関する話題から
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▼IANA監督権限の移管に関する議論

インターネットガバナンスにおいて主要な話題の一つとなっているIANA(*1)
監督権限の移管(IANA Stewardship Transition)、つまり、

  ・現在、米国商務省電気通信情報局(NTIA)が契約主体となっているIANA機
    能やルートゾーン管理に関する契約の移行
  ・IANAのオペレーションに関してNTIAが果たしている役割(IANAの機能遂行
    状況の監督、TLDの委任(delegation)可否判断など)の移行

については、NTIAがIANA機能の監督権限を保持する現契約が失効する2015年9
月までに、グローバルなマルチステークホルダーのコミュニティに権限を移管
できるようにするための体制作りが求められています。

(*1)Internet Assigned Numbers Authorityの略称。現在はドメイン名、IP
      アドレス、プロトコル番号などのインターネット資源を管理するICANN
      の一機能として運用されています。

それを受けICANNでは、IANA機能をドメイン名、IPアドレス、プロトコルの分
野に分け、各分野でNTIAが果たしていた役割の整理と代替案の作成を実施して
きています。

作成された3分野からの提案は、IANA Stewardship Transitionにより影響のあ
るステークホルダーの代表者からなる調整機関として組織されたIANA 
Stewardship Transition Coordination Group(ICG)が調整した上で、NTIAに
提出することになっており、当初は2015年1月末より調整が開始される予定と
なっていました。

しかし、ドメイン名の分野の提案がまとまらなかったため、今回の会合におい
ては状況及び課題の共有と、それに対する意見募集に関するセッションが複数
設けられ、検討が進められました。会合中に結論には至りませんでしたが、引
き続き2015年6月をめどに提案を固める作業を続ける予定となっています。

▼ICANNのアカウンタビリティに関する議論

ポリシー策定や財政面においてICANNが十分に説明責任を果たすことができて
いるかなど、幅広く議論が行われているICANNのアカウンタビリティ(説明責
任)についても、IANA Stewardship Transitionと同様に、3分野それぞれで検
討が行われてきています。IPアドレスとプロトコルでは前回会合までに、IANA
の果たす役割は簡明であるためICANNという組織形態を変更する必要はないと
の結論に至っています。

ドメイン名に関しては、ICANNのアカウンタビリティを検討する際の主な要素
であるコミュニティ、理事会、規則、独立した監査体制の4点や、ストレステ
ストについての検討を行っているCross Community Working Group(CCWG)on
Enhancing ICANN Accountabilityにより情報共有と意見収集の場が設けられま
した。しかし、結論が出るには至らず、引き続き検討が行われることとなりま
した。

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(2)ccNSOに関する話題から
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▼Framework of Interpretationについて

TLDの委任などに関する枠組みの作成を目的として、RFC 1591で定義されてい
るDNSの構造と委任に関する既存のポリシーについての解釈を行い、主な用語
の解釈などについて検討を実施してきたFramework of Interpretation(FoI)
WGの最終報告書は、GAC(*2)への意見照会が行われ、ICANN理事会で承認を得
ました。

(*2)Governmental Advisory Committeeの略称。ICANNの諮問機関の一つで、
      各国政府などからの代表メンバーによって構成されます。GACは政府の
      立場からICANN理事会に対して助言を行っています。

これに伴い、これまで委任や移管を実施する際にICANN、IANAが参照していた
GAC Principles 2000、ICANNが公開しているICP-1などの文書については今後
は参照せず、RFC 1591及びその解釈を根拠とするように対応が進められる予定
です。

▼セキュリティに関する話題

Secure Email Communication for ccTLD Incident Response(SECIR)WGでは、
インシデント発生時に各ccTLDレジストリの担当者が緊急に情報を共有できる
メーリングリスト(TLD-OPS list)の運用方法について検討を進めています。

メーリングリストには、.jpを含むいくつかのccTLDレジストリからメンバーが
加入しています。JPRSからも斉藤仁と堀五月の2名が登録しており、既に試験
的な運用を開始しています。

なお、SECIR WGは6月に行われる予定のICANN会合にて活動を終了し、正式運用
に移行する見込みとなっています。

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(3)その他の内容・議論から
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▼IDN TLDに関する話題

新gTLD導入プログラムでは国際化ドメイン名(IDN)によるTLDも申請可能と
なっており、既にいくつかのIDN TLDの運用が始まっています。そのような状
況において、TLDにおける各言語の文字列の取り扱いに関しても、それぞれの
状況を考慮した共通ルールを早期に策定することが求められています。

本会合で開催されたIDN Workshopでは、JPRSの堀田博文より日本語生成パネル
(Japanese Generation Panel:JGP)(*3)の活動に関するプレゼンテーショ
ンを行いました。

(*3)DNSのルートゾーンにおける新gTLDの日本語文字列が従うべきルールを
      検討し、ICANNに対して提案を行うことを目的としたパネルで、2015年
      2月6日にICANNに提案書が提出されました。

プレゼンテーションでは、JGPの立ち上げについてICANNに提案したことや作業
の洗い出しがほぼ完了したことなどが発表されました。また、漢字の取り扱い
に関する共通ルールについては、日本語と同じく漢字を使用する言語である中
国語と韓国語のパネル(CGP、KGP)の他、ICANNや各言語の文字列ルールを統
合する検討チーム(Integration Panel:IP)との調整を行い、整合性のある
ルールの統合を進めていかなければならないことなどを確認しました。

▼新gTLDに関する動向

新gTLDの次回募集に向けたコミュニティの動きは停滞している状況にあります
が、ICANNスタッフは、2012年に開始した現在の新gTLDの導入に関するレ
ビュー作業のプロセスと改訂版のスケジュールを本会合前に発表し、今回の新
gTLD関連セッションで周知を行いました。

レビューは次回募集に向けた検討の最初のステップと明確に位置付け、評価対
象項目の具体化が図られました。また、すべてのレビューの終了時期について
は、2017年第2四半期になる見通しであることが示されました。

この他、500を超える新gTLDが委任される中でGlobal Domain Division(GDD)
は、レジストリ・レジストラ向けサービスの安定的提供と拡充に向けた取り組
みに力を入れていることを、GDD Updateのセッションで発表しました。また、
ICANNとの決済を米ドル以外で可能とする準備、レジストラ認定契約
(Registrar Accreditation Agreement:RAA)締結時の企業総合保険について、
加入要件の見直しを進めていることなど、グローバルサービスの提供主体への
変化を印象付ける取り組みも改めて発表されました。

▼APAC Spaceの開催

2014年3月に行われたICANNシンガポール会合で、「New Asia gTLD Registries
and Registrars Initiative」という形で開催された意見交換の場を母体とし
て、それを発展させる形でICANNと契約関係を持つ組織を中心に、情報交換と
アジア太平洋地域のレジストリ、レジストラとしての意見の形成、ICANNス
タッフとの対話を目的にAPAC Spaceというセッションが開催されました。

今回のセッションにはアジア太平洋地域のレジストリ、レジストラなどが集ま
り、新gTLD導入後の各国の市場動向紹介が行われた他、アジア太平洋地域にお
けるICANNのアウトリーチ活動について、レジストリ契約(Registry 
Agreement:RA)やRAAが英語であることに起因する言語障壁とそれを解決する
ための各国語訳のレベル向上の要望などについて、ICANNスタッフを交えた意
見交換が行われました。

情報交換の場、多くのICANNスタッフと話ができる場として有用といった意見
が上がり、今後もICANN会合の際にこのような場を設けていくことなどが確認
されました。

■次回のICANN会合

次回の第53回ICANN会合は、2015年6月21日から25日にかけてアルゼンチンのブ
エノスアイレスで開催される予定です。

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◎関連URI

  - ICANN52 | Singapore
    http://singapore52.icann.org/
    (ICANNシンガポール会合公式ページ)

  - Announcements - ICANN
    https://www.icann.org/news/announcements
    (ICANNのアナウンス一覧ページ)

  - Working Groups | Country Code Names Supporting Organisation
    http://ccnso.icann.org/workinggroups/
    (ccNSOのWG紹介ページ)

  - NTIA IANA Functions' Stewardship Transition
    https://www.icann.org/en/stewardship/
    (IANA transitionに関するICANNのページ)

  - DNSのルートゾーンにおける日本語ルールの生成パネル
    http://j-gp.jp/
    (JGP公式ページ)

  - Program Status | ICANN New gTLDs
    http://newgtlds.icann.org/en/program-status
    (新gTLDプログラムの進行状況を示したICANNのページ)

  - Announcements | ICANN New gTLDs
    http://newgtlds.icann.org/en/announcements-and-media/latest
    (新gTLDプログラムに関するICANNのアナウンス一覧ページ)

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